こころの天窓(語録集)

  • 「人間は、だれもが、その胸底に本人にもそれと意識されない一粒の涙を、抱 いています。それは人が悲しいときや つらいときに流す涙とはちがい、どんな人の胸にも、人として生まれ落ちたとき、その胸底にふるえる滴のように置かれた涙です。その涙は、人が悲しみや苦しみに襲われ、言葉を失くして泣くとき、涙を流すその人のうちにあって、ともに泣いてくれる涙です。」

    (『ともに泣いてくれる涙』 「ぼくは十二歳」 高史明・岡百合 子編)

  • 「誰かが僕を呼ぶ声が聞こえます。声のするほうに振り返った時、自分が人間だったことを 思い出すのです。」

    (「飛び跳ねる思考」 東田直樹)

  • 私は、同じように親との関係に悩んでいる人に、伝えたかったのだ。苦しんでいるのは、あなたひとりではないのだ、ということを。

    毎日新聞(2017.5.14)『日曜日ですよ』(小川 糸)

  • 人間のだれもが、究極においてはいきなければならない孤独と隣りあわせで、人それぞれ自分自身の孤独を確立しないかぎり、人生は始まらないということを、すくなくとも私は、ながいこと理解できないでいた。

    (「コルシア書店の仲間たち」 須賀敦子)